認知症になっても、もてなそうとする母

施設に入った母に逢いにやっと来れた。
実家から歩いて15分のところにある。

施設の中は、天井も高く全体がゆったりとした造りになっていた。
スタッフは担当チームが組まれていて、責任を持って生活のすべてを把握していてくれる。
総合病院と連携をとっていてくれて、本当にどのスタッフも暖かく声をかけてくれるので、どうしてこんなにも丁寧な対応をしてくれるのか聞いてみたら、「自分がしてほしいこと、自分の親にしてほしいことをしています。それをいつも全員が心がけています。」と話してくれた。働く方は厳しいこともあるだろうけれど、ありがたい。
母は穏やかな顔になっていた。
私の事もすぐに分かり、話は通じる。
椅子に座り食事をしてしばらくしてくると、目がうつろになって、段々話が通じなくなる。そして、ベットに戻り、すっと眠りにつく。
眠くてしょうがないという。

老いを見せてくれる。
自分の将来の姿を見せてくれる。
認知症になっても、それを否定されなければ、そう害ではない。
寝ていた母が突然起きて、「ご飯仕掛けてあるけんな、いろいろなもん仕掛けてあるけんな、大丈夫だぞ」と言う、「分かった、ありがとう」と答えると安心してまた眠った。
母は食の人で、いつも食卓を豊かにすることを考えて、みんなをもてなしてきた人だ。
作物を作り加工する。こんにゃくもイモから作り、奈良漬も瓜から作る。
沢山の創作料理を考案し、婦人会でみんなに教えてきた。

夢の中でもメニューは出来ているようだった。

夕食を私に食べさせようとしているのだ。

涙が出る。
いつも、人の事を思っている母は最期までそのまま変わらない。

母を母に選んだ自分を誇りに思えた。

大好き!!ありがとう!

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