人は誰かが真剣に信じてくれていることで、どうしようもない不安から脱却できる。

ある26歳の青年のお話です。(ご本人の許可を取っています)
18歳から対人恐怖症で関わっている彼ですが、無事就職もでき、厳しい現実社会で、倒れそうになりながらも、なんとか踏ん張ってきました。
社会人になって3年目ですが,先輩方から罵倒を浴びせられ、パートの方たちが彼を守ろうと立ち上がり、本部に陳情するというところまでの状況だったのです。
いじめか教育のぎりぎりのところです。
それでも彼は、学生の頃からの訓練で、自分のおごる心を手放し、今を受け入れるを実践してきましたので、彼にとってそれはいじめではなく、ただただ教育だったのです。
彼は上司や先輩に感謝し、生きる厳しさを正面から受け取っていました。

コミュ二ケーションに大しての問題は全くなくなっていました。
返って、もともと人が好きな彼は誰からも可愛がられるようになってきていました。
陰湿だったいじめはなくなっていきました。
本人の自覚がないためか、周りの方々の人としての本質が現れ始めたのか、厳しさの裏に必ず愛が見え隠れするようになりました。
それを彼は受け取り、感謝しました。
仕事が遅く、失敗が多い彼をその愛が支えてくれていました。

ここまで来たのも奇跡だと思っています。

本人も、学生の頃のだれとも話ができなく、飲み会があると恐怖に襲われていた自分を思い出すと、感慨深げに話します。よくここまで来たね~と、二人で振り返ります。
ここまで来たからこれからも大きくなっていけるよ、と話していた矢先、職場が変わり、サブチーフに栄転したと連絡が入りました。

多分、ご両親も、職場の同僚も、手放しで喜び応援してくれているのでしょう。

震えた声で、弱弱な自分の気持ちをしゃべると、ちょっとは勇気が出るかもしれない・・・ガキなんです。不安です。できません。。。。
そう言って、震えた声で話します。

しばらく話していて、最後に、私の口から出た言葉は、あなたが信じられなくても、あなたは将来堂々として、ちょっとおじさんになってはいるけどだくましく仕事している姿しか見えない。
人を大事にし、人から信頼されている姿しか見えない。
その私を信じて!私はあなたはやる!!と信じている!!と電話で、叫びました。

彼の声は元気になっていきました。
そして、今日も新しい職場で働いています。

先日NHKで、松本幸四郎がラ・マンチャの男を初めて帝国劇場で演じたあと、ブロードウェイで、世界中でラ・マンチャの男を演じている人が集まり、2ヶ月にわたっての上演があったと話していた。
ボロボロになり、舞台で倒れそうになり、心も苦しくてどうしようもないとき、ご両親から手紙が来た。
母は心配がいっぱい書いてあったが、何枚かの手紙の最後に、大きな父の字で、「信じている」
と書いてあった。その言葉を読んで両目から滝のように涙が流れ、そして、体が動くようになって、最後まで演じくることができた。とテレビで話していた。
まさに、まさに、
人は誰かが真剣に信じてくれていることで、どうしようもない不安から脱却できる。

 

後日26歳の青年のセッションを行った時の最後の彼の言葉です。
「やっと育ててもらった恩返しができます。 ずっと甘える事ばかりしてきた。迷惑ばかりかけてきました!」
サブチーフとしての自覚と希望がもてた男の言葉に聞こえました!

私も嬉しい!!